妊娠中に座ると坐骨が痛い・歩くと恥骨が痛い…その原因と対処法
妊娠中の骨盤まわりの不調とやさしく付き合うヒント
妊娠中期〜後期になると、「座っていると坐骨が痛い」「歩くと恥骨がズキズキする」といった症状に悩まされる妊婦さんは少なくありません。
この記事では、その原因やセルフケア方法、ストレッチや筋トレを分かりやすくご紹介します。
目 次
妊娠中に起こる骨盤周りの痛みの原因
追加の症状があるかチェックしたいポイント
🔸片脚立ちが痛い・・・恥骨結合の不安定性
🔸尾てい骨(尾骨)周辺の痛み・・・仙尾関節または神経の圧迫
🔸下肢のしびれ・放散痛・・・坐骨神経痛または梨状筋症候群
🔸足のむくみ・左右差・・・骨盤の歪みに伴う循環不良
恥骨結合機能障害
妊娠により分泌されるホルモン「リラキシン」や「プロゲステロン」によって、骨盤の靭帯が緩みやすくなります。
その結果、左右の恥骨をつなぐ恥骨結合が不安定になり、歩行時や片脚に体重をかけたときに痛みが出ることがあります。
梨状筋の緊張や坐骨神経の圧迫
姿勢の変化や骨盤の傾きによって、お尻の深部にある「梨状筋」が緊張し、坐骨神経が圧迫されやすくなります。
その結果、長く座っていると坐骨周辺に痛みや違和感が出ることがあります。
骨盤輪の不安定性
妊娠後期に向けて、出産に備え骨盤が自然に緩んでいく過程で、骨盤全体のバランスが崩れやすくなります。
この不安定さが坐骨・恥骨の両方に影響を及ぼすこともあります。
セルフケアのポイント
🔸骨盤ベルトを活用し、恥骨や仙腸関節を安定させる。
🔸座るときは柔らかめのクッションを使用して坐骨への圧を分散。
🔸長時間の座位や片脚立ちを避ける。
🔸横向きに寝る際は、膝の間にクッションを挟んで骨盤のねじれを防ぐ。
症状に合ったストレッチと筋トレ
妊娠中でも無理なくできる、坐骨の痛みと恥骨の痛みに対するストレッチや軽めの筋トレをご紹介します。
すべて妊娠中(特に中期〜後期)でも安全な範囲で行える内容にしています。
症状 | 主な目的 | 種類 |
---|---|---|
座ると坐骨が痛い | 梨状筋・大殿筋の緩和 | ストレッチ+殿筋の安定化 |
歩くと恥骨が痛い | 骨盤底・内転筋の安定化 | 軽い筋トレ+骨盤サポート |
ストレッチ編(1日1〜2回)
🔹梨状筋ストレッチ(坐骨の痛みに)
椅子に座り、片足をもう一方の膝に乗せて前傾し、お尻の奥を伸ばすストレッチ。
左右30秒ずつ、痛みがない範囲で行いましょう。
🔹内転筋ストレッチ(恥骨の痛みに)
足裏を合わせて座り、膝を外に開き、背筋を伸ばして前傾。
無理のない範囲で30秒キープします。
筋トレ編(2日に1回がおすすめ)
🔹骨盤底筋エクササイズ(ケーゲル体操:恥骨の痛み・骨盤の安定)
仰向けや横向きに寝て、おしっこを止めるようなイメージで骨盤底を締め(お尻を締める)、5秒キープ×10回。
🔹橋のポーズ(ヒップリフト:骨盤の安定+殿筋強化)
仰向けに寝て膝を立て、お尻をゆっくり持ち上げる。
5秒キープ×10回。
殿筋の強化で骨盤を安定させます。
🔹クラムシェル(外転筋=中殿筋の強化)
横向きに寝て膝を軽く曲げ、上側の膝を貝が開くようにゆっくり開閉。
左右10〜15回ずつ、中殿筋の強化に有効です。
注意点
🔹常に「痛みが出ない範囲」で行うことが大前提。
🔹恥骨痛が強い日は「骨盤ベルト」を使いながら行うと安定しやすいです。
🔹エクササイズ中や後にお腹が張る・出血・痛みが悪化するなどの異常があればすぐ中止して医師に相談してください。
最後に
妊娠中の恥骨痛や坐骨の痛みは、一時的なものであることが多いですが、適切なケアをすることで大きく改善するケースもあります。
無理せず、体の声を聞きながら少しずつケアしていきましょう。