血糖値スパイク・夜間低血糖・肥満も予防?

食事の順番と腸内環境が鍵!GLP-1と腸内細菌の関係とは
血糖値の急上昇を防ぎたい、糖尿病を予防したい、腸活をしたい——こうした健康意識の高い方に注目されているのが、ホルモン「GLP-1」と腸内細菌が作る「短鎖脂肪酸(SCFA)」の関係です。この記事では、GLP-1の分泌メカニズムと腸内細菌との関わりについて、最新の知見をもとにわかりやすく解説します。
GLP-1はどこで作られ、どう働く?
GLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)は、主に小腸〜大腸のL細胞から分泌されるホルモンで、以下のような働きを持っています。
・インスリン分泌の促進
・胃排出抑制(食べたものが胃からゆっくりと出ていくようにする)
・食欲を抑制する
少量ながら脳(延髄の孤束核)や膵臓でもGLP-1様の物質が産生されることがありますが、主な供給源は腸内です。
腸で分泌されたGLP-1は血流に乗って全身に作用しますが、脳にはほとんど届きません。これは「血液脳関門(BBB)」というバリアによって遮断されるためです。ただし、GLP-1は迷走神経を介して間接的に脳にシグナルを伝えることができ、食欲や代謝に影響を与えます。
腸内細菌がGLP-1分泌を後押しする?
腸内細菌自体がGLP-1を直接作ることはありませんが、GLP-1の分泌を強力にサポートする存在です。
とくに注目すべきは、腸内細菌が発酵によって作り出す短鎖脂肪酸(SCFA:酢酸・プロピオン酸・酪酸)です。
これらのSCFAは、腸のL細胞にあるFFAR2やFFAR3といった受容体を刺激し、GLP-1やPYYの分泌を促します。つまり、SCFAを多く産生する腸内環境を整えることが、GLP-1の自然な増加につながるのです。
食事の工夫でGLP-1とSCFAを増やすには?
以下のような食材や食べ方が、腸内細菌によるSCFAの産生とGLP-1分泌を助けます。
◎ プレバイオティクス(腸内細菌のエサになる食物)
・ごぼう、玉ねぎ、アスパラガス(イヌリンなどの水溶性食物繊維)
・海藻、きのこ類
・レジスタントスターチ(冷ごはん、冷やしたじゃがいも)
・フラクトオリゴ糖
◎ プロバイオティクス(善玉菌を含む食品)
・味噌、ぬか漬け、キムチ、ヨーグルト
◎ 食事の順番も重要!
- 食物繊維・酢の物など
- たんぱく質
- 炭水化物
この順番で食べることで、血糖値の急上昇を防ぎ、GLP-1の分泌や腸内細菌の活性をサポートできます。
酢の物はSCFAを増やす?
酢に含まれる「酢酸」も短鎖脂肪酸の一種です。
しかし、以下のような健康効果があります。
・食べたものが胃からゆっくりと出ていくようにして、血糖値の上昇を緩やかにする
・インスリン感受性を高める
・腸内環境(pH)を整える
つまり、「酢の物」は血糖調節や腸内環境の維持に間接的にプラスになる食品です。
わかめやきゅうりといった食物繊維を含む具材と組み合わせれば、腸内細菌にも良い影響を与えます。
まとめ
- GLP-1は主に腸のL細胞から分泌され、血糖調節や食欲抑制に役立つ。
- 腸内細菌が作る短鎖脂肪酸は、GLP-1の分泌を促進する。
- 食事の最初に食物繊維や酢の物を摂ることで、血糖上昇を防ぎ、腸内環境を整えられる。
これらの工夫は、夜間低血糖や血糖値スパイク(食後高血糖)、さらには肥満の予防にもつながります。
健康のためには、「何を食べるか」だけでなく、「どの順番で食べるか」「どんな腸内環境を育てるか」も大切です。
ぜひ、毎日の食事に役立ててみてください。