アトピーとフィラグリン:「遺伝だから仕方ない」は本当か?

「体質だから治らない」と言われて、諦めていませんか?

「アトピーは遺伝だから仕方ない」
「親から受け継いだ体質だから、一生付き合うしかない」
皮膚科でこう言われて、希望を失った経験はありませんか?

確かに、アトピー性皮膚炎には遺伝的な要素が関係しています。特に「フィラグリン」という皮膚バリアの重要な成分に関わる遺伝子の変異が、アトピーのリスクを高めることが分かっています。

でも、ここで知っておいてほしい大切なことがあります。
遺伝子の変異は「変えられない部分」ですが、フィラグリンの「発現低下」は「改善できる部分」なのです。

この違いを理解することで、アトピーとの向き合い方が大きく変わります。

今回は、フィラグリンについて分かりやすく解説しながら、「改善できる希望」をお伝えしていきます。

目 次

フィラグリンって何?なぜアトピーと関係するの?

皮膚バリアの主役

?マークの女性

前回の記事「アトピーの根本原因は『皮膚バリアの破綻』だった!」でお伝えした通り、アトピーの本質は皮膚バリア機能の低下です。

その皮膚バリアの中で、最も重要な役割を果たしているのがフィラグリン(Filaggrin)という蛋白質です。

🔸フィラグリンは、皮膚の一番外側にある角層細胞の中で働いています

🔹 役割1:細胞の骨格を作る
角層細胞の中にあるケラチン線維(皮膚の構造を支える繊維)を束ねて、しっかりとした「壁」を作ります。

🔹 役割2:天然保湿因子(NMF)の原料になる
フィラグリンが分解されると、アミノ酸や尿素などの「天然保湿因子(NMF)」に変わります。これが皮膚の潤いを保ち、バリア機能を支えます。

つまり、フィラグリンは

  • 構造面:皮膚の「壁」を強くする
  • 保湿面:皮膚の「潤い」を守る

という2つの面で、皮膚バリアを守る中心的存在なのです。

フィラグリンが減ると何が起こる?

🔸フィラグリンが不足すると、以下のような問題が起こります

❌ 角層細胞の構造が弱くなる
❌ 天然保湿因子が減って乾燥しやすくなる
❌ バリア機能が低下して、刺激物やアレルゲンが侵入しやすくなる
❌ 水分が逃げやすく、外部刺激が入りやすい「スカスカの壁」になる

これがまさに、アトピー肌の状態です。

2つの問題:「遺伝子変異」と「発現低下」の違い

疑問に思う

フィラグリンが不足する原因には、大きく分けて2つあります。

そして、この違いを理解することが非常に重要です。

① 遺伝子変異(先天的な問題)

🔸「設計図」そのものの問題

フィラグリンを作る遺伝子(FLG遺伝子)に変異があると、正常なフィラグリンが作れなかったり、量が少なかったりします。

🔸データで見る遺伝子変異📊

✅日本人のアトピー患者さんの約27%にFLG遺伝子変異がある
✅逆に言えば、73%の方には遺伝子変異がない
✅変異があってもアトピーにならない人もいる

つまり、遺伝子変異は確かにリスク要因ですが、

✅全員が持っているわけではない
✅変異があっても必ずアトピーになるわけではない
❌変異そのものは変えられない

② 発現低下(後天的な問題)

低下🔸「設計図は正常でも、作る量が減っている」問題

遺伝子は正常でも、様々な後天的要因によってフィラグリンの産生量が減ってしまうことがあります。

そして、ここが最も重要なポイントです。

🔸発現低下は改善できる!

遺伝子変異がない方はもちろん、変異がある方でも、発現低下を改善することで皮膚バリア機能を向上させることができるのです。

なぜフィラグリンの発現が低下するのか?

原因1:炎症による抑制

火事による交通規制アトピー性皮膚炎で起こるTh2型の炎症は、フィラグリンの産生を直接抑制します。

特に、炎症性サイトカインのIL-4とIL-13は、皮膚細胞に「フィラグリンを作るな」という信号を送ります。

前回の記事「なぜ普通のかゆみがアトピーに?ヒスタミンと掻破の悪循環」でお伝えした通り

かゆみ → 掻く → 炎症 → フィラグリン低下 → バリア破綻 → さらに炎症 → さらにかゆみ…

という悪循環が生まれます。

原因2:掻破による物理的ダメージ

手を掻く🔸掻くことで

  • 角層が剥がれ落ちる
  • フィラグリンを含む細胞が失われる
  • 皮膚が修復を急ぐあまり、未熟な細胞が表面に出てくる
  • 未熟な細胞はフィラグリンの産生能力が低い

原因3:乾燥

乾燥させた椎茸皮膚が乾燥すると、バリア機能がさらに低下し、炎症が起こりやすくなります。

その炎症がまたフィラグリン産生を抑制する、という悪循環に。

原因4:栄養不足

三大栄養素フィラグリンは蛋白質です。

🔸その合成には

  • 良質なタンパク質
  • ビタミンA、D、E
  • 亜鉛
  • オメガ3脂肪酸

などの栄養素が必要です。

原因5:ストレスや睡眠不足

眠れないストレスホルモン(コルチゾール)の過剰分泌や、睡眠不足は、皮膚のターンオーバーを乱し、フィラグリン産生にも悪影響を与えます。

 

フィラグリンの発現を改善する5つのアプローチ

5つ、5番目

ここからが本題です。

後天的な発現低下は、以下の方法で改善できます。

1. 炎症をコントロールする

🔸目的:フィラグリン産生の抑制を解除する

する事理由
適切な外用薬の使用ステロイドやタクロリムス軟膏で炎症を速やかに抑える
保湿の徹底炎症の「火種」を作らない
かゆみのコントロール掻破を減らして炎症の悪循環を断ち切る

「ステロイドは怖い」と避ける方もいますが、炎症を放置することで、フィラグリン産生がずっと抑制され続ける方が、長期的には皮膚バリアにとってマイナスです。

2. 掻破を減らす

🔸目的:物理的ダメージを最小限にする

  • 爪を短く切る、整える
  • 夜間の無意識の掻破対策(綿手袋、寝間着の工夫)
  • かゆみが出やすいタイミングを記録して、先手を打つ
  • 抗ヒスタミン薬の活用

3. 保湿ケアの徹底

🔸目的:バリア機能をサポートし、炎症を予防する

  • 入浴後5分以内に保湿剤を塗る
  • セラミド、ヘパリン類似物質など、バリア機能を補う成分を選ぶ
  • 1日2回以上の保湿を習慣化

保湿は「フィラグリンの代わりをする」わけではありませんが、バリア機能を補うことで、炎症を予防し、フィラグリン産生が回復しやすい環境を整えます。

4. 栄養面からのサポート

🔸目的:フィラグリン合成の材料を確保する

材料食べ物
良質なタンパク質肉、魚、卵、大豆製品
ビタミンAレバー、にんじん、かぼちゃ(皮膚細胞の分化に重要)
ビタミンD魚、きのこ、適度な日光浴
亜鉛牡蠣、赤身肉、ナッツ(蛋白質合成に必須)
オメガ3脂肪酸青魚、亜麻仁油(炎症を抑える)

偏った食事、過度なダイエット、ジャンクフード中心の食生活は、フィラグリン産生の妨げになります。

5. 生活習慣の改善

🔸目的:皮膚の修復力を最大化する

改善事項理由
質の良い睡眠成長ホルモンは睡眠中に分泌され、皮膚の修復を促進します
ストレス管理過剰なストレスホルモンは皮膚バリアを弱めます
適度な運動血流改善により、栄養と酸素が皮膚に届きやすくなります

整骨院の施術とフィラグリン発現の関係

不安感

一般的な整骨院では、アトピー性皮膚炎に対する専門的なアプローチを行っているところは多くありません。

しかし当院では、アトピーの根本原因である「皮膚バリア機能の低下」と「フィラグリン発現の抑制」に着目し、独自のアプローチでフィラグリン発現の改善をサポートしています。

1. 自律神経の調整

ストレスや自律神経の乱れは、炎症を悪化させ、フィラグリン産生を抑制します。

🔸当院の施術では

  • 頸部や背骨周囲の緊張をゆるめる
  • 副交感神経を優位にする手技
  • 深い呼吸を促す姿勢の改善

これにより、炎症が起こりにくい体内環境を整えます。

2. 血流とリンパの流れの改善

フィラグリンの材料となる栄養素は、血液によって皮膚に運ばれます。また、炎症物質はリンパで排出されます。

🔸施術により

  • 筋肉の緊張をゆるめて血流改善
  • リンパの流れを促進
  • 皮膚への栄養供給と老廃物排出をサポート

3. 姿勢・呼吸の改善

猫背や浅い呼吸は、自律神経の乱れを招き、ストレスホルモンの分泌を増やします。

🔸姿勢を整えることで

  • 深い呼吸ができるようになる
  • 副交感神経が働きやすくなる
  • 睡眠の質が向上する

4. 生活指導

栄養、睡眠、ストレス管理など、フィラグリン発現を改善するための生活習慣についても、具体的にアドバイスさせていただきます。

まとめ

「遺伝だから仕方ない」を超えて

まとめ

🔸ここまでのポイントを整理します

✅ フィラグリンは皮膚バリアの中心的存在
 構造と保湿の両面で皮膚を守っている

✅ フィラグリン不足には2つの原因がある
 ① 遺伝子変異(先天的・変えられない)
 ② 発現低下(後天的・改善できる)

✅ 日本人アトピー患者の73%は遺伝子変異がない
 つまり多くの方で、発現低下が主な問題

✅ 発現低下の主な原因
 炎症、掻破、乾燥、栄養不足、ストレス

✅ 改善のための5つのアプローチ
 ① 炎症コントロール
 ② 掻破を減らす
 ③ 保湿の徹底
 ④ 栄養サポート
 ⑤ 生活習慣の改善

最後に:希望を持ってください

アトピーは遺伝だから治らない
と諦めているあなたへ

誠巧整骨院の院長

この言葉に縛られて、改善の努力を諦めてしまうのは、本当にもったいないことです。

確かに遺伝的な要素はあります。でも、それは「全てが決まっている」ということではありません。

後天的に改善できる部分が、たくさんあります。

フィラグリンの発現を高めることで、皮膚バリアは確実に強くなります。

炎症の悪循環を断ち切ることで、自然治癒力が働き始めます。

「体質だから」と諦めるのではなく、「今できることから始める」という一歩を踏み出してみてください。

当院では、医療機関の強みを活かしながら、アトピー性皮膚炎の根本的な改善をサポートしています。

「遺伝だから仕方ない」を、「改善できる希望がある」に変えていきましょう。

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