薬の副作用で口や手足が勝手に動く?知っておきたいこと
精神科の薬や吐き気止めを飲んでいる方へ
「薬を飲んでいたら、口が勝手に動くようになった」
「手足が自分の意思とは関係なく動いてしまう」
――こうした症状に悩まされている方はいませんか?
それは「遅発性ジスキネジア」という薬の副作用かもしれません。
聞き慣れない名前ですが、実は意外と多くの方に起こりうる問題です。
この記事では、この副作用について一般の方にも分かりやすく解説します。
目 次

遅発性ジスキネジアは、特定の薬を長期間服用することで起こる副作用の一つです。
医学的には「錐体外路症状」と呼ばれる神経系の異常の一種で、自分の意思とは関係なく体が動いてしまう「不随意運動」が主な症状です。
「遅発性」という名前の通り、薬を飲み始めてすぐではなく、数ヶ月から数年経ってから症状が現れるのが特徴です。
最も大きな問題は、薬をやめた後も症状が続くことがあるという点です。
場合によっては、症状が改善しにくく、長期間続いてしまうこともあります。
私たちは普段、「手を動かそう」「歩こう」と思って体を動かしています。
これが「随意運動」です。
一方、「不随意運動」は、自分の意思とは関係なく体が勝手に動いてしまうことを指します。
例えば:
口がモグモグと動いてしまう
舌が勝手に出てしまう
手足が意図せず動く
「止めよう」と思っても止められないのが特徴で、日常生活に大きな支障をきたすことがあります。

遅発性ジスキネジアを引き起こす可能性のある薬には、以下のようなものがあります。
1. 抗精神病薬
統合失調症や双極性障害の治療に使われる薬です。
| 種類 | 内容 |
|---|---|
| 定型抗精神病薬 | 古いタイプの薬で、発症率は約30%と高めです |
| 非定型抗精神病薬 | 比較的新しい薬で、発症率は約20%とやや低めですが、それでも注意が必要です |
2. 制吐剤(吐き気止め)
・メトクロプラミド(プリンペラン®など)
・胃腸の症状や吐き気の治療でよく使われます
3. その他の薬
・ベンゾジアゼピン系(睡眠薬や抗不安薬)
・抗てんかん薬
・抗うつ薬
これらの薬を服用している方全員に起こるわけではありませんが、リスクを知っておくことが大切です。

遅発性ジスキネジアの症状は人によって異なりますが、代表的なものには以下があります。
| 部位 | 症状 |
|---|---|
| 口や顔の症状 | 口をモグモグと動かしてしまう 舌が勝手に出たり、左右に動いたりする 口をすぼめたり、突き出したりする 頬を膨らませる まばたきが増える 顔をしかめる |
| 手足や体の症状 | 指や手が勝手に動く、手指のくねくね動く動き 足をバタバタさせる 体が揺れる 骨盤の前後運動 首が回る |
| その他の症状 | 呼吸困難 呼吸が不規則になる 声が出しにくくなる |
これらの動きは自分の意思では止められないのが特徴で、日常生活に大きな支障をきたすこともあります。
遅発性ジスキネジアになりやすい人には、いくつかの特徴があります。
🔸主なリスク因子
| リスク因子 | 説明 |
|---|---|
| 高齢者 | 年齢が高いほどリスクが上がります |
| 女性 | 男性よりも女性の方がなりやすい傾向があります |
| 長期服用 | 薬を飲む期間が長いほどリスクが高まります |
| その他 | 糖尿病がある 脳の病気がある アルコールや薬物の使用歴がある |
遅発性ジスキネジアは、実は多くの方が気づかないまま過ごしている可能性があります。
特に日本では睡眠薬や抗不安薬(ベンゾジアゼピン系)を長期服用している方が多く、潜在的な患者数はかなり多いと考えられます。
気づかれにくい主な理由
- 症状が徐々に現れる
・急激に症状が出るわけではないため、本人も家族も変化に気づきにくい
・「いつの間にか口が動くようになっていた」というケースが多い - 「年のせい」と思ってしまう
・特に高齢者に多い副作用のため、老化現象と勘違いされやすい
・「年を取ったから仕方ない」と諦めてしまう - 「癖」や「無意識の動き」と思われる
・口をモグモグ動かす、舌を出す、などの動きが「癖」に見える
・周囲も「そういう癖なんだな」と思ってしまう - 病名が知られていない
・「遅発性ジスキネジア」という言葉自体を知らない人が多い
・症状があっても、それが薬の副作用だと結びつかない - 軽い症状から始まる
・最初は小さな動きから始まるため、見過ごされやすい
・気づいた時には症状が進行していることも
こんな症状はありませんか?
以下のような症状に心当たりがある方は、一度医師に相談してみましょう。
- 家族や友人から「口が動いている」と指摘された
- 鏡を見たら、無意識に口や舌が動いていた
- 以前はなかった手足の動きが出てきた
- 写真や動画を見返したら、変な動きをしていた
「もしかして?」と思ったら、それは体からのサインかもしれません。
遅発性ジスキネジアは、一度発症すると治療が難しいことが多いため、予防がとても重要です。
予防のためにできること
- 定期的な診察を受ける
・薬を飲んでいる間は、定期的に医師の診察を受けましょう
・小さな変化でも医師に報告することが大切です - 必要最小限の量で
・医師と相談しながら、必要最小限の量で治療を行いましょう - 長期間の服用には注意
・本当に必要な期間だけ服用するようにしましょう
・定期的に服用の継続が必要か見直すことが重要です - 早期発見
・「口が勝手に動く」「手足が変な動きをする」などの症状に気づいたら、すぐに医師に相談しましょう
・早期に対応することで、症状の悪化を防げる可能性があります
もし症状が出たら?
遅発性ジスキネジアが疑われる症状が出た場合、絶対に自己判断で薬をやめないでください。急に薬をやめると、別の問題が起こる可能性があります。
🔸必ずすべきこと
- すぐに医師に相談する
どんな症状が、いつから、どのように出ているか伝えましょう - 医師の指示に従う
薬の変更や減量は、必ず医師の指導のもとで行います - 症状を記録する
症状がいつ、どのように出るか記録しておくと診察時に役立ちます
遅発性ジスキネジアは、特定の薬を長期間服用することで起こる可能性のある副作用です。
高齢者や女性、長期服用者はリスクが高く、定型抗精神病薬では約30%、非定型抗精神病薬では約20%の確率で発症するとされています。
最も重要なのは予防です。
定期的な診察を受け、少しでも気になる症状があれば早めに医師に相談しましょう。
薬は病気を治すために必要なものですが、副作用のリスクも知っておくことが大切です。
医師と良好なコミュニケーションを取りながら、安全な治療を続けていきましょう。
注意事項
この記事は一般的な情報提供を目的としたものです。個々の症状や治療については、必ず医師にご相談ください。
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