エナジードリンクと筋肉症状:カフェインの落とし穴
〜疲れたときの「ちょい足し」が危険な理由〜
仕事や勉強で疲れたとき、エナジードリンクをぐっと一本。さらに頭痛があれば鎮痛剤も一緒に。
そんな何気ない習慣が、実は筋肉に深刻なダメージを与えているかもしれません。
薬剤性筋肉症状シリーズの第5弾となる今回は、身近すぎるがゆえに見過ごされがちな、エナジードリンクと筋肉症状のリスクについてお伝えします。
目 次

エナジードリンク1本に含まれるカフェイン量は、商品によって大きく異なります。
代表的な商品を見てみましょう。
主な商品のカフェイン含有量(1本あたり)
・レッドブル(185ml):約80mg
・モンスターエナジー(355ml):約142mg
・ロックスター(500ml):約200mg
・眠眠打破(50ml):約120mg
コーヒー1杯(150ml)のカフェイン量が約90mgですから、大容量のエナジードリンクを1本飲むだけで、コーヒー2杯分以上のカフェインを摂取することになります。
さらにタウリン、アルギニン、ビタミンB群など、複数の成分が高濃度で配合されており、これらの相互作用も無視できません。
カフェイン自体は適量であれば、運動パフォーマンスを向上させる効果があります。
しかし過剰摂取は別の問題を引き起こします。
筋肉への作用メカニズム
カフェインは筋小胞体からのカルシウム放出を促進します。
通常、カルシウムは筋肉の収縮に必要な物質ですが、過剰になると細胞内のカルシウム濃度が異常に上昇し、筋細胞の破壊につながります。
また、カフェインの利尿作用による脱水状態は、この問題をさらに悪化させます。
脱水により血液中の薬物濃度が上昇し、筋肉への負担が増すからです。

1. NSAIDs(鎮痛剤)との併用
前回の記事でお伝えしたNSAIDsとの併用は、特に注意が必要です。
頭痛や生理痛でイブプロフェンやロキソプロフェンを服用し、眠気覚ましにエナジードリンクを飲む。この組み合わせは若い世代、特に女性に多く見られます。
NSAIDsは腎臓の血流を減少させ、カフェインの利尿作用と相まって脱水状態を引き起こしやすくなります。
さらに両者が筋肉細胞に与えるストレスが重なることで、横紋筋融解症のリスクが高まります。
実際に、エナジードリンクとNSAIDsの併用後に筋肉痛や茶色い尿が出現した症例が報告されています。
2. スタチン(コレステロール薬)との併用
中高年の方に多いのが、コレステロール管理のためのスタチン系薬剤との併用です。
スタチン自体が筋肉症状を起こしやすい薬剤であることは第2弾の記事でお伝えしました。
エナジードリンクに含まれる成分が肝臓の代謝酵素に影響を与え、スタチンの血中濃度を上昇させる可能性があります。
特にシンバスタチンやアトルバスタチンを服用中の方は、エナジードリンクの常飲を避けるべきでしょう。
3. 運動・筋トレとの組み合わせ
「トレーニング前にエナジードリンクで気合を入れる」という習慣も、実は危険です。
運動による筋肉へのストレス、発汗による脱水、カフェインによる利尿作用とカルシウム代謝への影響が重なり、筋肉障害のリスクが飛躍的に高まります。
特に夏場の屋外運動や、長時間の激しいトレーニングでは、普段なら問題ない量のエナジードリンクでも、重篤な横紋筋融解症を引き起こす可能性があります。
横紋筋融解症は、筋肉の細胞が壊れて、その中身(ミオグロビンなど)が血液中に大量に流れ出す状態です。
本来筋肉の中にあるべき物質が腎臓に到達すると、腎臓の細いフィルター(尿細管)を詰まらせてしまい、急性腎不全を引き起こす危険があります。
初期症状は筋肉痛や脱力感など、ありふれたものです。
しかし放置すると、腎機能障害、不整脈、さらには命に関わる状態へと進行します。
「いつもと違う疲れ方」や「茶色い尿」が出たら、すぐに医療機関を受診することが重要です。
詳しくは第2弾「【薬の副作用】横紋筋融解症の危険信号|筋痛症から進行まで」をご参照ください。

エナジードリンクの摂取後、以下の症状が現れたら要注意です。
🔸すぐに医療機関を受診すべき症状
- 筋肉の強い痛みやこわばり(特に太もも、ふくらはぎ、肩)
- 尿の色が濃い茶色やコーラ色に変わる
- 極度の疲労感や脱力
- 吐き気や嘔吐
- 動悸や不整脈
- 激しい頭痛やめまい
特に「いつもと違う疲れ方」や「尿の色の変化」は見逃さないでください。
これらは横紋筋融解症の初期サインかもしれません。

エナジードリンクを完全に避ける必要はありませんが、以下のポイントを守りましょう。
🔸1日の摂取上限
- 健康な成人:カフェイン400mg/日まで
- 若年層・女性:200〜300mg/日まで
- 妊婦:200mg/日まで
🔸避けるべきタイミング
- 鎮痛剤服用後の3〜4時間以内
- 運動前後の1時間以内
- 就寝前の6時間以内
- 既に2本以上飲んだ日
🔸特に注意が必要な人
- スタチンなどの薬を服用中
- 腎臓や肝臓に持病がある
- 不整脈の既往がある
- BMIが低い(体重が軽い)

エナジードリンクに頼る前に、試してほしい方法があります。
🔸即効性のある疲労回復法
- 15分程度の仮眠(パワーナップ)
- 軽いストレッチや散歩
- 十分な水分補給
- 糖分を含む軽食(バナナ、おにぎりなど)
🔸長期的な対策
- 質の良い睡眠(7〜8時間)
- バランスの取れた食事
- 定期的な運動習慣
- ストレス管理
慢性的な疲労感がある場合は、エナジードリンクで一時的に誤魔化すのではなく、生活習慣の見直しや当院への相談を検討しましょう。
「便利」と「安全」のバランス
エナジードリンクは、使い方次第で味方にも敵にもなります。
本当に必要なときに適量を摂取するのは問題ありませんが、「疲れたらとりあえずエナジードリンク」という習慣は見直す時期かもしれません。
特に鎮痛剤との併用、薬を服用中の場合、激しい運動との組み合わせには十分な注意が必要です。
自分の体からのサインを見逃さず、不安な症状があればためらわずに医療機関を受診してください。
本記事は情報提供を目的としており、医学的アドバイスの代わりとなるものではありません。個別の症状や薬の使用については、必ず医師・薬剤師にご相談ください。
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