「食べる=生きる」を支える唾液のちから

唾液腺からわかる命の営み

「口から物を食べなくなったらダメになる」

これは、高齢者の介護現場や病院などでよく聞く言葉です。

なぜ「食べる」ことがそんなに大切なのでしょうか?

もちろん、食べることで栄養を摂るという意味はあります。

しかし、それだけではありません。

食べるという行為そのものが、「生きている」という証であり、脳、神経、消化器、免疫など、全身を連動させる“命の営み”なのです。

そしてこの一連のプロセスの入り口であり、重要な役割を果たしているのが「唾液」なのです。

目 次

唾液は「消化液」であり「生体防御液」

食べる女性

唾液は単なる“口の中を潤す液体”ではありません。

食べる、話す、飲み込むという基本的な行為を支えながら、消化や免疫など様々な機能を持ちます。

とくに高齢者では、唾液の減少が食欲低下、誤嚥、免疫低下などにつながり、結果的に「食べられない=生きる力が弱る」状態になることがあります。

唾液腺から分泌される成分とその働き

唾液腺の場所主に3つの大唾液腺(耳下腺・顎下腺・舌下腺)から分泌される唾液には、以下のような成分があります。

成分主な働き
アミラーゼ炭水化物の消化(でんぷんを分解)
リゾチーム抗菌作用(口腔内の感染予防)
ラクトフェリン免疫調整・抗ウイルス
ムチン粘膜保護、嚥下をスムーズにする
イミュノグロブリンA(IgA)免疫機能(ウイルス・細菌からの防御)
これらの働きがあるからこそ、「よく噛んで唾液を出す」ことが重要なのです。

唾液に含まれるホルモンや神経伝達物質

研究する人

最近の研究では、唾液中には次のようなホルモン・神経物質も含まれていることがわかっています。

🔸BDNF(脳由来神経栄養因子):脳の可塑性や記憶力に関係し、うつ病や認知症との関連も。唾液レベルからストレス評価にも使われます。

🔸メラトニン:体内時計を整えるホルモンで、唾液での分泌が睡眠の質の目安にも。

🔸コルチゾール:ストレスホルモン。唾液中濃度を測ることでストレス評価が可能です。

唾液は、脳と体の状態を映し出す「生体モニター」とも言えるのです。

唾液に含まれる成長因子のはたらき

分子 因子

唾液には、消化や免疫に関わる物質のほかに、「成長因子」と呼ばれる細胞の再生や修復を促す重要な物質も含まれています。

これらの成長因子は、口腔内の粘膜を守ったり、傷を治したり、神経や血管の健康を保つ上でも重要です。

以下に、唾液に含まれる代表的な成長因子をご紹介します。 

成長因子働き
EGF(上皮成長因子)口の中や胃腸の粘膜を修復。傷の治りを早める。
NGF(神経成長因子)神経の修復・保護。味覚や痛覚に関与。
BDNF(脳由来神経栄養因子)ストレスや認知機能と関係し、脳を守る働きも。
IGF-1(インスリン様成長因子)筋肉や骨の再生。歯周組織の修復にも関与。
TGF-β(トランスフォーミング成長因子β)炎症を抑え、傷の治癒を助ける。
FGF(線維芽細胞成長因子)細胞分化・血管新生に関与。
VEGF(血管内皮成長因子)血管を再生し、創傷部位の回復を促進。

これらの成長因子の働きにより、唾液は「生きるための再生液」とも言える存在なのです。

唾液と脳、そして腸との深いつながり

腸唾液腺相関

「腸脳相関(Gut-Brain Axis)」という言葉をご存じですか?

腸と脳は、自律神経やホルモン、免疫を介して密接に連携しています。

そしてそのルートのひとつに「唾液」が関わっているのが「腸唾液相関」です。

腸内環境が整うと、副交感神経が優位になり、唾液分泌も促進されます。
逆に、唾液が少ないと消化吸収が悪くなり、腸内環境が乱れるという悪循環に陥ります。

唾液を守ることは「生きる力」を守ること

家族で食事「食べることは生きること」
この当たり前の営みを守るために、唾液の働きを軽視することはできません。

唾液をしっかり出すには

  • よく噛んで食べる(1口30回を目安に)
  • 水分をこまめに摂る
  • ストレスを溜めない(副交感神経を整える)
  • 唾液腺マッサージ(耳下腺・顎下腺の刺激)
  • 発酵食品や食物繊維で腸内環境を整える

など、日常の工夫がとても大切です。

まとめ

まとめよく噛むことからはじめよう。

「食べなくなると生きる力が弱まる」
その背景には、唾液の減少、嚥下機能の低下、腸内環境の悪化など、多くの要因が関わっています。

まずは、今日の食事から「よく噛んで、唾液を出す」ことを意識してみませんか?

唾液は、私たちが“生きる”ことを支えてくれている、見えないけれどとても大事な存在なのです。

 

大阪市西成区で姿勢や体をしっかり働けるようにしたい方へ

  1. 当院では、健康のためには唾液の分泌を大切に考え、あご周りの施術を行っています。
  2. 唾液腺は自律神経の働きと関係が深いため、自律神経のバランスも整えていきます。
  3. また、近くにある咬筋(かむ筋肉)も脳の神経と関わっており、自律神経に影響するため、こちらも丁寧に施術しています。
  4. おまけ効果として、フェイスラインがスッキリします。

自律神経脳活性整体整体・体の歪み矯正・顔の歪み矯正も行っております。
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