薬の副作用で筋肉症状?知っておきたい2つのタイプ
早期発見のための基礎知識
「最近、筋肉が痛い」
「以前より疲れやすくなった」
「体が勝手に動く気がする」
──こんな症状に心当たりはありませんか?
実は、これらの症状は、日頃服用している薬の副作用である可能性があります。
薬は病気を治療するために欠かせないものですが、一方で思わぬ副作用をもたらすこともあるのです。
今回は、薬剤性の筋肉症状について、その全体像をわかりやすく解説します。このシリーズでは、まず基本的な知識を押さえていきましょう。
目 次

私たちが日常的に服用している薬の中には、筋肉や神経系に影響を及ぼすものがあります。
これは薬の本来の目的とは別の、いわば「意図しない作用」です。
重要なのは、これらの症状が決して珍しいものではないということです。
コレステロールを下げる薬、血圧の薬、精神科の薬など、多くの人が服用している一般的な薬でも起こり得ます。
ただし、すべての人に起こるわけではありませんし、適切に対処すれば深刻な事態を避けることができます。
そのためには、まず「どんな症状があるのか」を知っておくことが大切です。

薬による筋肉症状は、大きく分けて2つのタイプに分類できます。
それぞれ原因となる薬も、症状の現れ方も異なります。
タイプ1:筋肉組織のダメージ系
これは、薬が直接的に筋肉の細胞にダメージを与えることで起こる症状です。
🔸代表的な症状
- 筋肉痛(特に太ももやふくらはぎ)
- 筋力低下
- 疲労感
- 尿の色が濃くなる(重症の場合)
このタイプには、「筋痛症」と「横紋筋融解症」という2つの段階があります。
筋痛症は比較的軽度で、筋肉の痛みや違和感が中心です。
一方、横紋筋融解症は筋肉が壊れて体内に物質が漏れ出す深刻な状態で、腎臓にも影響を及ぼす可能性があります。
🔸主な原因薬
- スタチン系(コレステロールを下げる薬)
- フィブラート系(中性脂肪を下げる薬)
- NSAIDs(消炎鎮痛剤)※市販薬を含む
- 一部の抗生物質
「薬じゃないから安全」と思われがちなエナジードリンクですが、過剰摂取により横紋筋融解症を発症した事例が報告されています。
高濃度のカフェインやナイアシン(ビタミンB3)が筋肉に影響を与え、特に運動中や脱水状態での摂取、複数本の連続摂取は危険です。
「眠気覚まし」「疲労回復」のつもりが、逆に体にダメージを与えてしまうことも。
特に若い世代で、ジム通いやスポーツをしながらエナジードリンクを日常的に飲んでいる方は注意が必要です。
詳しくは別記事で解説予定ですので、ぜひご覧ください。
タイプ2:神経系の異常運動系
こちらは、薬が脳や神経系に作用することで、自分の意思とは関係なく体が動いてしまう症状です。
🔸代表的な症状
- 口や舌が勝手に動く
- 顔をしかめる
- まばたきが増える
- 体が揺れる
- 手足が勝手に動く
このタイプの代表が「遅発性ジスキネジア」です。
特に精神科の薬(抗精神病薬)を長期間服用している方に見られることがあります。
「遅発性」という名前の通り、薬を飲み始めてから数ヶ月〜数年後に症状が現れることが特徴です。
🔸主な原因薬
- 抗精神病薬
- 一部の胃腸薬
- パーキンソン病の治療薬
- ベンゾジアゼピン系(睡眠薬や抗不安薬)
この2つのタイプは、まったく異なる仕組みで起こるため、対処法も予防法も違います。
筋肉組織のダメージ系は、早期に気づいて薬を調整すれば回復することが多いですが、放置すると重篤な状態に進行する可能性があります。
特に横紋筋融解症は、腎不全などの命に関わる合併症を引き起こすこともあるため、迅速な対応が必要です。
一方、神経系の異常運動系(遅発性ジスキネジア)は、一度発症すると治療が難しく、症状が長く続くことがあります。
そのため、予防と早期発見がより一層重要になります。

薬剤性の筋肉症状で最も大切なのは、「早く気づくこと」です。
以下のような症状に気づいたら、自己判断で薬をやめたりせず、必ず医師や薬剤師に相談してください。
🔸すぐに相談すべき症状
- 新しく始めた薬の後に筋肉痛が続く
- 頭痛薬や生理痛の薬を長期間、頻繁に使用している
- 以前になかった筋力低下を感じる
- 尿の色が濃い茶色やコーラ色になった
- 口や舌が勝手に動き、止められない
- 家族から「変な動きをしている」と指摘された
特に、複数の薬を服用している場合や、用量が変更された後は注意が必要です。
正しい知識で安全な薬物療法を

薬の副作用と聞くと不安になるかもしれませんが、正しい知識を持つことで、多くの問題は予防・早期発見できます。
今回ご紹介した2つのタイプの筋肉症状は、それぞれに特徴があり、対処法も異なります。
🔸次回予告
筋肉痛や筋力低下が気になる方は、次回の記事『薬剤誘発性筋痛症と横紋筋融解症:見逃せない危険信号』で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
具体的な症状のチェックポイントや、どんな薬で起こりやすいか、検査方法などをわかりやすくお伝えします。
また、体が勝手に動く、口がもぐもぐするなどの症状については、『遅発性ジスキネジア:知っておきたい薬の副作用』の記事で詳しく解説しています。
頭痛や生理痛で消炎鎮痛剤を長期間服用している方は、『NSAIDsと筋肉症状:市販薬でも注意が必要な理由』で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
特に女性の方で頻繁に服用されている場合は、知っておくべき情報をお伝えしています。
大切なお願い
この記事の内容で気になる症状がある場合は、必ず医療機関を受診してください。
自己判断での服薬中止は、病気の悪化や離脱症状を引き起こす可能性があります。
薬は正しく使えば、私たちの健康を守る強い味方です。
副作用について知ることは、薬をやめるためではなく、より安全に薬と付き合っていくための第一歩なのです。
薬剤性筋肉症状に関する関連記事
(公開までしばらくお待ちください👷)
薬剤誘発性筋痛症と横紋筋融解症:見逃せない危険信号👈
遅発性ジスキネジア:知っておきたい薬の副作用 👈
NSAIDsと筋肉症状:市販薬でも注意が必要な理由 👈
エナジードリンクと筋肉症状 👈
あなたやご家族の健康を守るために
大阪市西成区で姿勢や体をしっかり働けるようにしたい方へ
当院では、身体の不調を自律神経脳活性整体、体の歪み矯正や栄養指導、運動指導に加えて生活習慣や環境の改善も含めたサポートを大切にしています。
ご相談はお気軽に!













