ストレッチの効果を上げる7つのポイント
回数とタイミング
筋温が低いと、熱を産生して温度を上げようとし筋肉が緊張して伸ばしにくく、筋温が高い時は、筋肉が緩んでいてのばしやすい状態です。
ストレッチを行うベストなタイミングは、筋肉が温まっていてなおかつゆるんでいる状態にある、スポーツや有酸素運動などの運動を終えた20~30分後や、お湯が筋肉を温め浮力が筋肉をゆるめてくれる入浴後。
それ以外の時間でもやればやるほど効果はあります。
※注意!
・他の運動同様に飲酒後や体調のすぐれない時、極端に筋肉が冷えた時は やってはいけません。
フォーム
ストレッチで伸ばしたい筋肉がどこからどこに付いているかご存じですか?
筋肉は一つ又は複数の関節をまたいで、基本的に骨にくっついています。
ストレッチは、筋肉が一番伸びた状態をつくってあげることで、筋肉がくっついている部分が最も遠ざかったポジションをつくってあげる事がベストポジションとなります。
筋肉の走行をネットや解剖書などで学習し一番伸びた状態を理解したうえでストレッチをしましょう。分かりにくい場合は専門家にお聞きください。
見よう見まねで出来てしまうストレッチですが、これらの事を知っているのとそうでないのとでは結果に差がでます。
関節の靭帯に負担をかけないこと
靭帯が骨と骨を密着させてくれています。
骨と骨がしっかり密着しているからこそ滑るように転がるようにスムーズに動くのが関節です。
靭帯が伸びてしまった状態で関節を動かすとガタガタグラグラしながら骨と骨がぶつかりながら関節が動きます。
その結果、なんとか安定しようとして骨を変形させてまで安定させようとします。代表的なものは、変形性膝関節症。
膝の曲がった変形性膝関節症の方の 歩行を見ていると、膝が左右にグラグラ揺れているのがわかります。
脱力
筋肉自体には収縮する能力しかないので、筋肉を伸ばすには他の力によって引っ張られることで、ストレッチされる必要があります。
この時、伸ばされるべき筋肉に力が入ってしまうと、綱引き状態になり筋肉はうまく伸びません。
伸ばす筋肉を意識してはいけないのはこのためです。
自分の他の筋肉を使って引っ張るとそうなってしまうので、出来るだけ筋肉がリラックスした状態を作り出す必要があります。
筋肉がリラックスした状態で伸ばす方法として、重力の力を利用することが効率的です。
そのためには身の回りの物を使うという方法もあります。
例えば、太ももの裏側の筋肉を伸ばしたい時。
床に脚を伸ばして座り、状態を前に倒していきますが、体を前に倒すための力を重力に頼る場合、お尻の位置を高くしてあげる事で上半身の重さ(重力)を利用する事ができます。
具体的には、 お尻の下にクッションを敷いたり、椅子に浅く座って体を前に倒すと、自分の他の筋の力を使わずに太ももの裏の筋肉を伸ばす事ができます。
身の回りの物を利用して、楽にストレッチできる方法を探してみましょう。
リラックス
心身がリラックスしやすい環境下で行うことも大切です。
筋肉は寒いと緊張してしまいますので、快適な温度と湿度の部屋で行うのがよいでしょう。
ストレッチでリラックスすればするほど体表の温度が下がっていきますので、室温は少し暖かいと感じる 24度前後がよいでしょう。
服装も大切で、ジーンズなど伸縮性の低い素材の服は筋肉が伸びる前に、服の線維が動きを止めてしまうことになります。
比較的ゆったりとした服、伸縮性の高い服を着て行いましょう。
また、部屋を薄暗くしてリラックス効果の高いブルー系のライトをつけたり、ゆったりした音楽を聴いたり、 リラックス系のアロマオイルを焚いたりしながらストレッチするのも良いのではないでしょうか。
呼吸
呼吸と心身の状態には密接な関係があります。
体を支配する自律神経のうち、運動に適した状態にする交感神経は呼吸数を増やし、逆に、心身を安静状態に導く副交感神経は、呼吸数を下げます。
呼吸を速く行うと交感神経が興奮し、ゆったり行うと副交感神経が興奮します。
さらに、交感神経は息を吸う吸気を支配し、 副交感神経は息を吐く呼気を支配 しています。
驚いた時はハッと息を吸い、安心するとホッと息を吐くのはこのためです。
これらを考慮すると、リラックスするためにゆったりと呼吸をし、筋肉を伸ばしていく時は息を吐きながら 行うことが、理解して頂けると思います。
息を吐くときの注意
一気に強く息を吐くと交感神経が興奮してしまうので、細く長く息を吐きましょう。
呼吸は鼻でも口でもやりやすい方で構いません。
そして、ストレッチを行っている間は息を止めない事。
方法は、筋肉を伸ばした最終的なポーズが決まったら、目安として8~10秒キープ(3~4秒吸って、5~6秒で吐く)一呼吸おき、繰り返します。 (2~5セット繰り返す)
一呼吸をくのは、伸ばしている筋肉以外の部分が力を出しているので、それを休ませるために一呼吸おきます。
〇秒とかはあくまでも目安ですので、考えすぎて緊張しないようにしましょう。
左右のバランス
腕や脚などには柔軟性の左右差が少なからず必ず存在します。
左右差の生まれる大きな原因は、日常生活動作です。
同じ側の脚を組んだり、同じ腕で荷物を持ったり、同じ肩に鞄をかけたり、同じ方向に体を捻ってテレビをみたり、体を左右不均等に使う事が多く、これが柔軟性の左右差を生みます。
スポーツの影響もあります。野球・テニス・ゴルフのように左右の手足の使い方に偏りがあるスポーツです。
それ以外では、ケガや手術、病気などで、骨折、肉離れ、打撲、捻挫などのケガをすると、多くの場合、受傷した側の柔軟性が低下します。
この様にして生まれた柔軟性の左右差は、姿勢や動きのアンバランスを生み出し、疲労を生む原因になります。
立っていても、背骨の左右にある筋肉に左右差があると、硬い方に体は傾き、重心が、硬い方の足にかかります。
この状態で歩いたり走ったりすると、重心の乗っている側の足が疲れたりどこかに痛みが出たりします。
左右差が柔軟性の向上の妨げにもなる
例えば、両手両足で行うストレッチでは、硬い側の筋肉が先に伸びきってしまい、柔らかい方は十分に伸ばすことができません。
結果、柔軟性の伸び悩みとなりますので、硬い方の柔軟性を改善させましょう。
左右差をなくすには、片手片足でおこなうストレッチを、硬い方は柔らかい方の倍の時間をかけておこなうことです。
それと同時に、日常生活での体の使い方にも注意しましょう。
動的ストレッチ
「反動=反対動作」をともなう動的ストレッチには血液の循環を促し、その結果、筋温を上げるという優れた効果があります。
また、障害予防という観点でも動的ストレッチは大切です。
肉離れや腱の断裂は、筋肉や腱が急激に伸ばされた時に起こりやすく、予防するにはこれに近い状態を行う必要があります。
そして、柔軟性を求められるのは、動いているとき。
スポーツはもちろん、日常生活でも、高い所の物をとろうとして腕を上げる時や、物を拾おうとして屈むときなど、「動的柔軟性」が求められます。
肉離れや腱の断裂などのケガは、動的柔軟性を発揮している時に起こっています。
短期間で柔軟性を高めたいという場合、静的ストレッチと動的ストレッチを組み合わせて行う方法を、おすすめします。この方法は静的ストレッチだけを行うよりも多くのエネルギーを使い、時間もかかりますが、狙った筋肉をより深く伸ばすことができます。
※注意
動的ストレッチで激しく反動をつけて行うと、筋肉が予想外に伸ばされて傷つく可能性がありますので、無理に行わないようにしましょう。
まとめ
- 回数とタイミング
いつでも、何度でも。 - フォーム
関節に負担がかからない範囲で筋肉を最大に伸ばす。 - 脱力 重力を使う
筋肉を伸ばすために他の筋肉に力を入れて伸ばさず重力を利用する。 - リラックス
リラックスできる環境で行う。 - 呼吸
「吐きながらポーズを作って一呼吸」を繰り返す。 - 左右のバランス
硬い側は倍の時間行う。 - 動的ストレッチ
静的ストレッチと動的ストレッチを組み合わせる。
残念なお知らせ
筋肉がかたくなりバランスが崩れた結果、体の歪みや不良姿勢になった場合の多くは、時間が経過し、筋肉が柔軟になっても体の歪みや姿勢が良くならない事も少なくありません。
その様な場合は、慣れ親しんだ歪んだ不良姿勢をリセットする必要があります。