明け方に足がつる原因とは?

冷え・体温・代謝の関係を医科学的に解説

朝方、ふと目を覚ましたときに「足がつって激痛!」という経験をされた方も多いのではないでしょうか。
この現象には、単なる筋肉の疲労やミネラル不足だけではない、体温調節や代謝機構が深く関わっています。

この記事では、「明け方に足がつる」原因を科学的にわかりやすく解説します。

目 次

なぜ明け方に足がつりやすいのか?

夜明け明け方に足がつりやすいのは、以下のような5つの生理的変化が重なる時間帯だからです。

  1. 深部体温の低下
    午前4〜6時頃、体の内部の温度(深部体温)は1日の中で最も低くなります。
    代謝が落ち、ATP(筋肉の弛緩に必要なエネルギー)の産生が減少。
    結果として、筋肉が弛緩できず、けいれん状態に。

  2. 血流の低下と神経興奮
    睡眠中は副交感神経が優位になり、筋肉への血流が減少。
    酸素や電解質の供給が不足し、神経が過敏に → 筋肉がつりやすくなります。

  3. 長時間の同じ姿勢
    寝ている間、ふくらはぎなどが長時間圧迫されたり、伸びた状態が続く。
    これにより局所的な血流障害=筋虚血が起こり、筋けいれんが発生しやすくなります。

  4. 電解質の乱れ
    寝汗や水分不足によってマグネシウム・カルシウム・カリウムなどのバランスが崩れる。
    神経と筋肉のやりとりが不安定に → 過剰収縮を起こすきっかけになります。

  5. ホルモンの変動(コルチゾールなど)
    明け方は、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌が急上昇。
    これにより血糖・電解質変化 → 神経系が刺激を受けやすい状態になります。

 

筋肉を動かすエネルギーはどこから来るのか?

睡眠中のエネルギー産生

筋肉が収縮・弛緩するにはATP(アデノシン三リン酸)が必要です。

睡眠中やふるえ時のATPは、脂肪酸から作られます。ブドウ糖よりも脂肪酸が主なエネルギー源となります。

特に、筋肉は脂肪酸をミトコンドリア内でβ酸化し、アセチルCoA → クエン酸回路 → 電子伝達系という経路を通じてATPを産生します。

「冷え」と筋けいれんの深い関係

睡眠中のけいれん「足がつる」と「冷え」には密接な関係があります。

🔹外気温が低い、または体温調節機能(視床下部)が乱れていると、筋肉の冷え・収縮しやすさが増加。

🔹冷えた筋肉はカルシウムの制御が乱れやすく、ATPの利用効率も低下。

🔹特に高齢者や女性は、筋肉や血流、代謝の調整が難しくなるため、足がつりやすくなるのです。

明け方の足のつりは「冷え」との相乗効果

🔸明け方の深部体温低下 + 外気の冷え → 体全体の代謝・血流がさらに低下

🔸「冷え+睡眠姿勢+電解質不均衡」のトリプルコンボ

明け方の足のつりを防ぐには?

🔹寝る前に水分・電解質をしっかり補給

🔹足を温める(湯たんぽや靴下)

🔹ふくらはぎの軽いストレッチ

🔹日常的にミネラル(マグネシウム・カルシウム)を意識した食事

 

まとめ

明け方に足がつるのは、単なる「寝相」や「年齢」ではなく、体温・神経・血流・代謝が関わる複雑な現象です。

体温調節やエネルギー代謝への理解を深めることで、予防や対策がより確実になります。

もし「よく足がつる」という方は、身体の内側のコンディションも見直してみてください。