免疫力を高めて感染対策!今こそ見直したい栄養素とは?

本記事では、粘膜を守るビタミンAやD、白血球の働きをサポートするミネラル、そして炎症を抑える脂肪酸など、免疫機能を高めるために欠かせない栄養素についてわかりやすく解説します。
ヒトの免疫力は本当に凄い
1987年、免疫学者・利根川進博士は、抗原レセプターに関する遺伝子研究でノーベル生理学・医学賞を受賞しました。
抗原レセプターの種類は1000兆以上とも言われ、その後の研究ではさらにその100倍が作られる可能性も示されています。
つまり、未知のウイルスにも対応できる可能性があるということです。
免疫は、鍛えるほど強くなる「経験型」のシステムでもあります。
しかし現代では「とにかく避けろ」「逃げろ」とばかり言われ、本来持つ免疫力を育てるチャンスが奪われがちです。
免疫力が低下する可能性を危険視しないのでしょうか?
本当に大切なのは、「免疫力をいかに高く保ち、正しく機能させるか」。それを意識することではないでしょうか?
感染を防ぐために大切なこと
病原体を入れないために

まず大切なのは、“外からの侵入を防ぐこと”。
鼻や口から始まる気道や消化管は、一見体内のようで実は「外」とつながっている空間です。その壁を守っているのが、粘膜です。
粘膜は皮膚のように頑丈ではないため、「粘液」によって保護されています。ネバネバの粘液はムチン(ムコ多糖)という成分で、ウイルスや細菌を包み込み、鼻水や涙と一緒に体外へ排出します。
さらに、この粘液中には次のような免疫物質が含まれています:
IgA抗体(グルタミン+ビタミンAから生成)
ウイルスや細菌、花粉などをキャッチし無力化する抗菌・抗ウイルスタンパク(ビタミンDが合成に必要)
細菌の細胞膜を攻撃して排除する
また、ビタミンDは粘膜細胞のつながりを強く保ち、粘膜バリアの強化に欠かせません。ビタミンAと一緒に働くことで免疫反応の調整も行います。
そして、亜鉛はこれらの働きを支える重要なミネラルです。体内に蓄積しづらいため、日常的な摂取が必要です。
水を多く含む性質はS-S結合というタンパク質の中に含まれるイオウを用いた結合です。
粘液中に待ち伏せするIgA抗体

病原体に負けない

粘膜を突破した病原体は、いよいよ体内に侵入します。
ここで登場するのが「白血球」たちです。
🔸好中球・マクロファージ・NK細胞・リンパ球
🔸彼らを支える栄養素:
ビタミンA・ビタミンD・亜鉛・グルタミン・プロバイオティクス(善玉菌)
腸は免疫にかかわる重要な器官

腸には、全身の60~70%の免疫細胞が存在します。
腸内環境を整えることで、IgA抗体の分泌も促され、免疫力アップにつながります。
また、白血球はグルタミンをエネルギー源にして活動し、鉄の力を借りて活性酸素を出し、病原体を攻撃します。
炎症を長引かせないために

ウイルスが体内に入り込むと、まずは局所で炎症反応が起きます。
これは免疫が病原体を排除しようとする自然な反応です。
しかし、この炎症が長引くと体に悪影響を及ぼします。
できるだけ早く炎症を終息させることが重要です。
🔸ビタミンCは免疫細胞を現場に素早く集め、全身への炎症の波及を防ぐ
🔸ビタミンCが不足すると、所の炎症が全身に波及し、関節痛や発熱といった症状につながることも
そして近年注目されているのが、DHA・EPA(オメガ3系脂肪酸)です。
これらから作られるレゾルビン・プロテクチンといった物質が、炎症を鎮める方向に働きます。
免疫力を支える栄養素まとめ
栄養素 | 主な働き |
---|---|
ビタミンA | 粘膜を丈夫にする 白血球を増員・配置する IgA抗体を作る |
ビタミンD | 粘膜を丈夫にする 抗菌・抗ウイルスタンパクを作る 白血球を増員・配置する |
ビタミンC | 白血球の働きを活発にする |
鉄 | 白血球が取り込んだ細菌・ウイルスの活性をなくす |
亜鉛 | 粘膜を丈夫にする 白血球を増員・配置する 白血球にエネルギーを与える |
硫黄 | 粘液の元となるムコ多糖を生成する |
グルタミン | 粘膜などのエネルギー源になる IgA抗体を作る 白血球にエネルギーを与える |
DHA・EPA(オメガ3) | 抗炎症作用 |
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